2008年の秋
決定的におかしいのではなく、なんだかおかしいなって状態が続いていた。だけど、確実に病気は進行しているんだろうなと、心の中では考えていた。
この頃、正直この先どうしていいかわからずに、自分自身の考えが持てず誰かに相談したかった。
会社での役職が、自分としてはこれ以上上がることはないだろうと思えるところまで上がったことによるストレスもこれに加わったことで、精神的に、少し自暴自棄になっていたから。よけいにそれを求めていた。
と言って男性に聞いても、たぶん答えがあるわけないし。
どちらかって言えば、男にしたら避けたい話題だし、ほとんどが奥さんに任せてるだろうから。
そんな中、ある時に知り合いの奥さんと話す機会があって、思い切って「嫁ぎ先の両親がボケたらどうする?」って聞いてみたんだけど、思いがけない答えが返ってきた。
「病院に入れて、兄弟で順番を決めて平等に介護する」って。
この時思ったんですわ、こういう問題は誰にしろ、経験している人、した人にしか話せないし聞いちゃダメなんだなって。
彼女にとっては、自分の親も含め全員健康のようで、介護のことなんて非現実的な話のようだから。
それだったら、こういう返答がくるのも当然のことだし。
でもこれ以後僕は、この話題を誰にも話していない。
アルツハイマーは間違いなく病気。
でも痴呆=阿呆のように感じてしまっていて、話すことが、その人の名誉を傷つけてるような気持ちが心の中にあるからなんだけど。と言って、そういう人をそういう目で見てるかと言えば、それだけは決してないよ。